kyrie.

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100歳のわたしへ


“100歳になった自分宛てに手紙を書いてください。”

30代のわたしから100歳のわたしへ。

100歳まで生きているなんてすごいね。
きっと今のぼくが予想もしていないことがこれからたくさんあって、でもきっとそれでも生きたいと思ったから、100歳という途方もない年齢に(今のぼくから見たらそうだ)たどり着いたんだと思う。

かつて10代の僕が20代の僕に宛てた手紙になんて書いてあったか覚えてる?
「もっと人に頼れるようになっていてほしいな」って書いてあったんだよ。
今のところ10年経っても20年経ってもそれは難しくて、あの頃は大人になったらなんでもできるようになると思っていたし、悲しいこともつらいことも一人で乗り越えられる力を持つことが大人になること──20代や30代になるってことだと思っていたんだ。
でも、人間ってそんなに変わらないもので、特にこういう根っこの部分というのはきっとずっと変われないのかもしれないなと今は思ってる。
100歳のぼくはどうかな。多分同じように誰かに頼ることが苦手で、それをほおっておけない周りの人に助けられたことも、たくさんあったんじゃないかな。
それは今のぼくがそうだから。

あなたの隣に、まだ奥さんは生きているかな?
「あなたが先に死んだらどうやって生きればいいかわからないから先に死なないでね」って約束したこと、ちゃんと果たせているかな。
だとすれば、きっと100歳の僕は、ずっとその人に頼りっきりの人生だったんじゃないかな。
こう言われて、「いや、……」だなんて思わないでほしいし、もう少し素直になってくれていればいいなと思う。

そう、きっとあなたはとても自分勝手になっているだろうし、これまで自制してきた反動もあると思う。
僕のおじいちゃんを見ていると、年を取るってことはそう言う部分があるんだってわかるよ。
きっとどこかで言葉を飲み込むことが出来なくなって、すごく大きな喧嘩を奥さんとするんだ。
でもきっと心の奥底ではそんなことしたくないし、仲良くしたいって思ってる。
ちゃんと仲直りできたかな。もしできていないんなら、今からでも遅くないよ。

きっと100歳まで生きるってことは、たくさんの人の力を借りることだと思う。
それは今のことじゃなくて、100歳にたどり着くまでのすべての道のりの中で。
だから、あなたのいのちがいつ終わるかわからない今、やるべきことは一つしかないよ。
きっとわかりきっているだろうけれど、でもきっとそれを渋ってきたんじゃないかな? わかるよ、自分のことだから。

あなたを今日まで支えてくれた人に。
あなたを今日までおぼえていてくれて、関わりを保ってくれた人に。
あなたを今日まで愛してくれた人に。
そして誰よりも、あなたにいのちと今日までの人生を与えてくれた神様に。
心を込めて、「ありがとう」って言うんだよ。

そろそろ目がしょぼしょぼしてきたんじゃない?
100歳だもんね。読んでくれてありがとう。

じゃあ、いってらっしゃい。