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あなたの心に光あれ


神は言われた。「光あれ。」こうして、光があった。

──創世記1章3節

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聖書が語る世界の初めにあったものは何か。それは、神様の言葉であった、と聖書は記しています。この世界はすべて、神様が言葉を語り、その言葉通りに世界が出来上がっていった、というのです。
世界を6日間で造られた神様は、7日目にその仕事を離れ、安息されたと、聖書は天地創造の物語を締めくくります。しかし、神様はそれ以降働くことをやめたわけではありません。

この世で初めてのプロテスタント教会であるルーテル教会が生まれるきっかけを作った人物に、宗教改革者のマルティン・ルターという人がいます。
この人は、今日の聖書箇所をこのように解釈しています。「旧約聖書の天地創造物語の中で、神様が「光あれ」と言ってくださったからこの世界に光が生まれた、というだけでない。その言葉が今も語り続けておられるからこそ、今日という日にもこの世界には光があるのだ」というのです。

そして、天地創造物語の中で、私たち人間は、「神様の似姿」として造られている、と書かれています。つまり、私たちは神様の姿にそっくりに造られている、というのです。
それは見た目だけではありません。私たちの言葉もまた、神様と同じというわけではないけれども、すごく力を持っているものであるということを、私たちは感じたことがあるのではないでしょうか。

日本古来の考え方に、「言霊」というものがあります。
私たちの言葉には霊力があって、言葉にすると言ったとおりのことが起こる、という考え方のことです。
日本から遠く離れた地で成立したはずの聖書と通ずる捉え方がある、ということにも驚きですが、ともかく私たちの言葉というものには、私たちが思っている以上に力があるのです。

私たちの言葉はたった一言で、誰かを慰め、心の傷をいやすことができる力を持っています。でも、使い方を間違えれば、誰かを傷つけ、誰かを死に追いやることさえあるのです。
それは、神様が私たちを、似姿として造ってくださり、そのみ言葉の力の一部をも私たちに分け与えてくださっているからです。
私たちは普段、自分の言葉はそれだけの力が、相手に対する大きな影響力があるものだ、ということを考えて、言葉を選んでいるでしょうか。

神様はこの世界を整えてくださるために、一つ一つ順番に、言葉を選んでくださいました。そして、この世界の中で一番初めに必要であったのは「光」であったと聖書は語ります。
だからこそ私たちも、誰かの心にいつも暖かな光を灯すことが出来るような、そういう言葉を選びたいと思います。
神様の言葉もまた、すべての人を明るく照らすために、今日も語られ続けているからです。

──「光あれ」と。