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あたたかいご飯とゆるしの心


そのとき、ペトロがイエスのところに来て言った。「主よ、兄弟がわたしに対して罪を犯したなら、何回赦すべきでしょうか。七回までですか。」イエスは言われた。「あなたに言っておく。七回どころか七の七十倍までも赦しなさい。」

──マタイによる福音書18:21-22

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私たちは、たとえば何か間違ったことをしてしまったり、意図せず相手を傷つけてしまったりすることがあります。
悪意を持って相手を傷つけようとする人も、残念ながらこの世を見渡すとたくさんいるものです。
つまり私たちは、大なり小なり、誰かを傷つけ、また傷つけられることから逃げられない、そんな世界に生きている、ということです。
誰だって傷つけられたくない、と思いますよね。それが相手の自分勝手な理由によるものであれば、なおさらそうでしょう。
しかし、私たちが傷つけてしまう立場にあるとき、なかなかそういう自分には気づかないものです。
気が立って、余裕がなくなって、イライラしてしまう。八つ当たりしてしまいそうになる。
そういう時、あなたならどうやってそれを解消しますか。いろんな方法があるでしょう。
でも一番手っ取り早いのは、実は温かいご飯をおなか一杯食べることです。そして体を温めることです。
単純だと思うかもしれませんが、実は私たちの体って、とてもシンプルなんです。
シンプルに、私たちが生きるために最低限必要なもの──つまりお腹が満たされることと、過ごすのに快適な温度が保たれること。体の問題が解決されて初めて、私たちは心の問題に取り組むことができるのです。

今日の聖書の箇所では、弟子ペトロがイエスのところに尋ねに来ています。
「自分が傷つけられたら、何回まで赦せばいいでしょうか?」この問いかけをしたペトロの心は、実のところ全く逆で、「何回傷つけられたら怒っていいでしょうか?」というものだったに違いありません。するとイエスは言うわけです。「何回でも、回数に関わらず赦し続けなさい」。
実際、私たちが今日の聖書の言葉を文字通りに受け取ろうとすると、そんなの無理だよ、と思えるかもしれません。
しかしここでイエスが私たちに伝えようとしているのは、こういうことです。
「傷つき傷つけられることから逃れられないこの世で、あなたがまずその怒りの連鎖を断ち切らないと、一生あなたも傷つき続けるよ」という勧めであったのです。

図書館に行ってみると、入口のところに立て看板が立てられていました。
「今日のちょっといい言葉」と題して、本の一節を紹介するもので、これがまた、スッと心に入ってくる名言のようなものが選ばれているようでした。
先週の「ちょっといい言葉」は、こういう言葉でした。
「心がおだやかになると、自分の姿が見えてくる。 」(小泉 吉宏『ブッタとシッタカブッタ 2 そのまんまでいいよ』より)
きっとイエスが教えようとしていたのもそういうことかもしれません。
体の問題が解決して、自分の心を穏やかに見つめることができるようになると、なぜ自分はこんなことに怒っていたんだろうか、と自分を振り返ることができるようになるのです。

イエスは言いました。「何回だって相手を赦しなさい」。それは、私たち自身もまた、誰かに赦されながら生きている、ということを思い出すことです。
もしかしたらあなたも、意図せず誰かを傷つけたことがあるかもしれない。誰にも言ったことないけど、私を傷つけたあの人だけは許せない、という気持ちを抱えている人もいるかもしれない。
でも、そのような皆さん一人一人がお互いに、本当に幸せになるためにイエスは言うのです。「七の七十倍までも赦しなさい。」
食と環境で体を満たし、聖書の言葉で心を満たすこと。その両方を大事にしながら、お互いにゆるしあう心を保って過ごしていきたいと思います。