唯一無二のあなた


イスラエルの聖なる神/あなたを贖う主はこう言われる。わたしは主、あなたの神/わたしはあなたを教えて力をもたせ/あなたを導いて道を行かせる。

──イザヤ書 48:17

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先日、ポケットモンスターの一番最初の劇場版「ミュウツーの逆襲」を久しぶりに見返しました。
この映画には子供向けとは思えない深い問いかけがあります。

物語は伝説のポケモン、ミュウを捜索する研究者たちが、ミュウの化石の一部を手に入れたことで、人工的に最強のポケモンを造る、というところから始まります。
そこで生まれたのがミュウのコピー、ミュウツーであり、強力な超能力で研究所自体を破壊してしまいます。
その後、悪い人間たちに闘いの道具として利用され、ミュウツーは人間とこの世界に憎しみを募らせていくのです。
自分は人間でもないし、人間に造られたコピーのゆえに、純粋なポケモンでもない。
では自分とは何者なのか。なぜ生まれたのか。自分が「本物」になるためにはどうすればよいのか──。
そういう深い問いかけが繰り返される物語となっています。

この冒頭のミュウツーの言葉を聞いたときに思い出したことは、スイスのジュネーブにある欧州原子核研究機構、CERN(セルン)の入り口にあると言われている言葉でした。
ポール・ゴーギャンという人が書いた一枚の絵のタイトルなのですが、「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」という言葉です。
この問いは、私たちの過去、現在、未来の全てについて問いかけているものです。
そしてそれを問いかけ続けていくことこそ、真の科学であるという意味で、CERNの入り口に掲げられているのだと思います。

よく、科学と宗教は対立するのではないか、という意見があります。
それを一つのモチーフとして入れ込んだ作品に「チ。」という漫画もありますが、科学は元々、キリスト教の修道士が始めた学問です。

この世界を造られたのは神様だということが一般常識であった時代に、神様が造られたこの世界をもっと知りたい、この美しさを解き明かしたいという熱意のもとに、地道な測量と計算によってこの世界を表現しようとした人々がいました。
それが、今の科学、あらゆる学問へと繋がっていったのです。

わたしたちはどこから来て、何者で、どこに行くのでしょうか。
一人一人バックグラウンドも、得意なことも苦手なことも、性格も得意な言語も違います。
確かなことは、私たち一人一人が、唯一無二の存在として今日ここに生きているのです。
誰かと比べると、途端に自分が小さく見えたり、自分には何の才能もない、何者でもない自分が浮き彫りになるかのように思うかもしれません。
しかしわたしたちは誰かのコピーではありません。親の写し鏡でもありません。
あなたがあなた自身になるために、神様はこの世界にあなたを造った、と聖書は語るからです。

神様はあなたに言います。
「わたしは主、あなたの神
 わたしはあなたを教えて力をもたせ
 あなたを導いて道を行かせる。」

誰かと比較され、誰かにどれだけ差を付けられているのか、誰かが持っていてあなたが持っていないのは何か。そういう目に、わたしたちはたくさんさらされています。

しかし、あなたはあなた自身になるために、必要なことだけを見据えていればよいのです。
神様はあなたが理想とするあなたに必要なことを、その時々に必ず教えてくださいます。
あなたを導いて、あなたの道を行かせてくださるのです。

わたしたちはどこから来て、何者で、どこへ行くのか。
その答えは、周りの人々を見ても与えられません。
死ぬまで問い続けても、答えは出てこないかもしれません。
でも、きっとその問いかけがあるから、私たちは神様と生きていけるのだと思います。

今一度、自分の胸に問いかけてみてください。
あなたは今、どんな人でしょうか。
これからは、どんな人になりたいですか。