Typoraというマークダウンエディタを知った。
普段はObsidianを使っているのだが、同じようにマークダウンエディタとして結構出来がいいっぽいのと、正式リリース(&買い切り有料アプリ化)になったということで、15日間の試用期間で使ってみた。
Obsidianと比較しながら使い心地をちょっとレビューしたい。
結論から言うと、Obisidianから乗り換えるには至らなかった。
ただ、デフォルトのObsidianにはなくて、Typoraのほうがいいな、と思った部分がある。
それは、エディタウィンドウの「幅のちょうどよさ」だ。
Obisidianには「読みやすい行の長さ」というオプションがある。

これをオンにしないと、エディタウィンドウの端から端まで文が敷き詰められることになる。

かといって、これをオンにするとちょっとだけ幅が狭い。

これはObsidianだけ使っていたら気にならなかったのだが、Typoraを使ってみると、これがまたちょうどいい幅のエディタウィンドウであることに気付かされてしまった。

ちょうどWordなどの文書ソフトで文を打っているときの、あの横幅に近い感覚で文章が書けるというのは、実際に触ってみないとわからないと思うが、思った以上にしっくりくる。
また、タイプライター機能もいい。
打っている文章が常に画面の中心に位置されるようになるので、長い文章を打ち続けているときにすごく見やすい。わざわざスクロールする必要がないのは快適だなと思わされる。
ただしこちらはObsidianにもプラグインで導入できるので、Typora独自の魅力とは言いづらい。
デフォルトで実装されているという点がいい、ということだ。
あとは小さなことだが、右クリックによるマークダウン補助機能がデフォルトで実装されているのも、マークダウン記法初心者にはありがたい。
Obsidianにもツールバーで同じように補ってくれるが、どちらが好みに合うのか(Obsidianほどたくさん記法を使わないぞという人もいるだろう)にもよるだろう。

しかし、果たしてこれらの魅力があるからObsidianから乗り換えるか? というと、あやしいところだ。
もちろん、ファイルの階層をObsidianと同じくツリー形式で表示してくれて、親フォルダを指定すれば、その下のディレクトリを横断しての検索機能もだいたい安定してやってくれる。
自動保存もお手の物で(ただこれをオンにした状態でObsidianから同じファイルを編集するとtyporaのほうがクラッシュするが)、Obsidianからシンプルなエディタ機能だけをもう一歩洗練させた感じを受けた。
そして、何よりもシンプルなことから動作が軽快だ。obsidianは扱うファイルが多ければ多いほど起動が重くなる(当然だ)が、その全てのファイルをいつも必要とするわけではない。
データベースをメインにobsidianを使いながら、実際の執筆自体はTyporaで行う、という使い分けができるところに、機能をそぎ落としたシンプルさの真意が見えてくる気がする。
ただ、Obsidianと比べてザッと使ってみただけでも
・フォント単体の指定機能なし(テーマと一体化されている)
・公式の同期/ファイル変更履歴保存機能なし
・プラグインによる機能拡張なし(テーマ拡張はあり)
そして何より自分の中では必須機能である「2つのファイルをタブで横に並べて一つのアプリ内で表示する」タブ閲覧機能がないのが決定打として、乗り換えるには至らなかった。
この機能は毎回使うわけではないが、たとえば日曜日に話す聖書のメッセージなどを書く際など、参照する聖句や資料などを見つつ書くことがあるため、使えないと困るのだ。
これは前に使っていたエディタ(Joplin)からObsidianに乗り換えた最大の理由でもあった。

このデメリットは、人によってはむしろメリットになりうるかもしれない。
好みのフォントは良いテーマを見つける手間はあるものの見つけたらそれしか使わないだろうし、
同期はクラウドストレージにファイル一覧を同期させておけばよいし、
プラグインによる機能拡張はそもそも求めていないという人もいるだろう。
Obsidianの哲学であるローカルファーストを踏襲しつつ、「書きやすく、見やすく、検索もしやすい、それ以外は求めないシンプルで軽快なマークダウンエディタさえあればいい」という人にはTyporaはオススメだ。
試用期間は2週間程度ある。それだけあれば、十分に自分に必要なアプリかどうかはわかるだろう。
買い切りで買ったとしても3000円もしない。日常的にPCで文章を書く人にとっては、十分リターンのある投資先になるだろう。