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世界の終わりはハッピーエンドがいい


そして、すべての国の民がその前に集められると、羊飼いが羊と山羊を分けるように、彼らをより分け、羊を右に、山羊を左に置く。そこで、王は右側にいる人たちに言う。『さあ、わたしの父に祝福された人たち、天地創造の時からお前たちのために用意されている国を受け継ぎなさい。』

──マタイ福音書25:31-34

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キリスト教は確かに世界の終わり──つまり終末について教えている。

でも、多くの新興宗教やカルトにとって、この終末というのは人々を洗脳するのにすごく便利な教えになってしまった。

というのは、世界の終わりにおいて神様は、人々を右と左により分け、その片方しか救わない、とはっきりと語っているからだ。だから、「あなたがこうしなければ地獄に落ちるぞ」という脅し文句と結び付けられることになる。

でも、自分の言うことを何でも聞く人間には救いを、そうしない相手には容赦なく地獄に落とす、という自分勝手な神様が、別の箇所では「敵を愛せ」なんて無限の愛を教え宣うのは、おかしな話ではないか。

弟子ヨハネはその手紙の中で「神は愛です(ヨハネの手紙 一 4:16)」と語った。愛である神様という視点から考えるなら、この世界の終わりにおける神の裁きは、決して一方的な断罪のために語られたものではないはずだ。

人間がどうしようもないほど罪深い存在であることは、2000年前に無実の神の子を十字架という極刑にかけた時点でわかりきっていた。そして神はそれを予見した上で救い主をイエスという人間としてこの世に送り、この言葉を語らせたのだ。ここに既に、神様の愛と人間への赦しが示されている。

その愛は、親が愛する子のためなら自らの命さえも捨てようとする、その思いと同じものだ。愛する我が子が間違った道にすすもうとするなら、親は引き留めるだろう。でも、親がつかんだその手を振り払ってその道に走り出してしまうなら、その子を止めることは親にはできない。

神様と人間の関係も同じだ。知らず知らずのうちに地獄へとひた走ろうとする人間に、神様がいくら改心を呼び掛けても振り返らないなら、神様であろうともどうしようもできない。

神様ならその人間の思いを変えてしまえばよい、その全能の力がある、と思うかもしれない。しかしそれは愛ではない。親が子を洗脳し、親の思い通りに動くロボットのようにしてしまう関係性は、もはや愛とは呼べないからだ。

だから、親が子に示すことが出来るのは、何をすればよいか、何をしてはいけないのか、というラインを引くことだ。右と左により分けられてしまう、その境目を、地獄に落ちる前に引いてあげることなのだ。

「『はっきり言っておく。わたしの兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。』」と神様は言う。

ここで左により分けられ、地獄へと定められた人々は、神様を、神様だけを熱心に崇拝していた人々だった。自分の救いのために、隣で苦しむ他者に目も暮れず、ただ自分が神様に正しいかどうかだけを見つめていた熱心な人々のことだった。

右により分けられ、天国の救いを与えられた人々は、自分の救いのために神様を崇拝することよりも、隣にいて苦しむ誰かに、必要な助けを差し出すことを優先した人々だった。

ここに、神様の愛、神様の御心(考え)が示されている。

人が人を蹴落としてまで、苦しむ誰かを見殺しにしてまで自分を救おうとする、そのような悲しく自分勝手な心を、神様は私たちに臨んではいない。

神様が喜ぶ信仰、神様の救いに与る生き方とは、自分を愛してくれている神が同じように愛している、自分の隣にいる人を助けることだ、とイエスは語る。

あなたの隣にいるその人が、どんな人であったとしても。

その人は、あなたが愛する人かもしれないし、かつてあなたを傷つけた人かもしれない。

しかしその人が今、悩み、苦しみ、迷い、困っているなら。そしてあなたが、その人に助けるための手を差し伸べることが出来るなら。

それは、神様ご自身を助けることと同じだ、とイエス・キリストは言うのだ。

あなたの差し出された手によって、その人はこれまでの行いを反省するかもしれない。言葉にせずとも、目に見える振る舞いには現れずとも、その人の良心のひとかけらが震えるかもしれない。その人がかつて誰かを傷つける原因となった心の傷が、少しだけ癒されるかもしれない。

目に見えないところで、でも確かに、あなたの差し出した手は、何かを変えていく。イエスはその力を信じていた。私たちの手を通して、誰一人泣くことのない世界を現実にする、神の愛と力を信じていた。

だから神様は、その誰一人泣くことのない世界──天国をこの世に来たらせる力として、あなたが誰かに差し出すその手を、今日も必要としてくれている。


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